在宅療養支援認定薬剤師とは?取得のメリット・制度の概要・取得方法

在宅療養支援認定薬剤師とは?取得のメリット・制度の概要・取得方法

在宅療養支援認定薬剤師とは、在宅医療のプロフェッショナルであることを証明する認定のこと。認定されると、どのようなメリットがあるのでしょうか?在宅療養支援薬剤師の役割や認定制度の概要、認定を受けるための手順を解説していきます。

在宅療養支援認定薬剤師とは?【役割・取得のメリット】

在宅療養支援認定薬剤師は、在宅医療に関する「知識」「技能」「態度」が優れていると認められた薬剤師を指します。


在宅療養支援認定薬剤師の認定を受けるには、日本在宅薬学会が年1回実施している試験に通らなければいけません。試験では5件の事例報告をもとに面接試験もおこなわれるため、実際に在宅医療の現場で活躍している薬剤師のみに与えられる資格といえます。

また3年ごとの更新制で、取得後もスキルアップのための努力を続けることが求められています。

在宅療養支援認定薬剤師は在宅医療の領域で、日本ではじめて第三者認証を受けた認定資格となっています。在宅医療について一定の技能を持っている証明となるため、在宅訪問指導を行なっていくにあたり、他の医療関係者や患者から信頼されやすいメリットがあります。

在宅療養支援認定薬剤師制度のなりたち【設立背景・取得者の人数】

在宅療養支援認定薬剤師制度は日本在宅薬学会が運営している制度です。2014年秋に第一回一次試験が行われ、翌2015年に日本初の在宅療養支援認定薬剤師が誕生しました。

累計141名が在宅療養支援認定薬剤師の認定を受け、現在は114名が活動しています(2019年2月時点)。

出典:一般社団法人日本在宅薬学会

日本在宅薬学会の理事長であり医師の狭間研至氏は、自身のブログで

「在宅で頼りになる薬剤師はどうやって探すのか?」と先輩医師に質問されたことが、在宅療養支援認定薬剤師制度を作るきっかけとなった

出典:HAZAMAKENJI.COM 【https://www.hazamakenji.com/】

と語っています。

そのため、在宅療養支援認定薬剤師に合格したメンバーのほとんどは日本在宅薬学会のホームページで名前・写真・勤務先・メールアドレスを公開。地域医療の発展のために大切な「顔の見える関係づくり」の第一歩としての役割も果たしているのです。

在宅療養支援認定薬剤師になるには?【取得要件6項目・試験の概要】

在宅療養支援認定薬剤師になるには6つの取得要件を満たしたうえで、一次試験・二次試験に合格する必要があります。
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。

取得要件6項目

取得要件は次の6つです。

取得要件6項目
①日本国の薬剤師資格を有し3年以上の薬剤師実務経験があること

②以下3つのうちいずれかの認定薬剤師であること
・薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師
・日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師
・日本医療薬学会認定薬剤師

③所定の研修講座受講により35単位以上の研修単位を取得していること

④日本在宅薬学会主催の学術大会に出席していること

⑤バイタルサイン講習会を受講していること

⑥在宅業務の事例報告を5件できること(介入後5年以内)

上記の6要件を満たしたうえで、証明となる所定の書類を提出してください。書類審査に通れば受験資格があたえられます。認定審査料は10,000円。登録料として別途10,000円かかります。

提出書類のなかで特に注意したいのが、事例報告の記載です。日本在宅薬学会の副理事長である手嶋無限氏は第4回認定試験の総評において、事例報告のシートが記載不十分であり、患者状態の把握が困難なものがあったと指摘しています。

提出された5事例の事例シートの記載において、審査に際し書面上の記載不十分や書式不統一など、患者状態の把握が困難なものも確認されました。患者全体像を捉えるためにも、処方情報・患者状態・生活環境などを把握した上で、バイタルサインや臨床検査値を適切に活用したフィジカルアセスメントによる薬学的介入とその後の評価を、より客観的に実践できるよう、今後の課題として提示させて頂きます。

出典:一般社団法人 日本在宅薬学会【https://jahcp.org/certification-general-review】

2019年に在宅療養支援認定薬剤師となった髙橋涼太氏も、インタビューでこのように述べられていました。

「事例報告は多職種と連携し、更に薬学的視点から介入した症例が審査対象となるため一人で頑張っても(在宅療養支援認定薬剤師の)取得は難しいでしょう」「最大の難関は日頃から医療関係者や介護関係者と密に連携を行っていることが求められる点だと思います」

出典:髙橋涼太薬剤師へのインタビュー【https://www.lively-pharma.jp/news/1238】

症例に関する情報は一朝一夕で得られるものではありません。認定試験を受けようと考えている方は早い段階で一度、事例報告のフォーマットをみて記載事項を確認しておくことをおすすめします。

一次試験:筆記試験

一次試験は筆記試験です。

一次試験~筆記試験~

・現在公開中のe-learning講座
・在宅医療のKEY&NOTE(薬ゼミファーマブック発行)
・バイタルサイン講習会
・認定セミナー
・時事 など

以上の範囲から出題されます。

二次試験:面接試験

二次試験は面接試験です。面接官は認定委員や在宅療養支援認定薬剤師となって活躍している方々が担当しています。面接試験は医療チームにおいて、多職種や患者とのコミュニケーションが円滑に行えるか、「態度」を評価するためのもの。

・患者の状態管理が十分できているか?
・医師との協働の中での薬学的介入とその後の確認・評価が行えているか?

などを、報告した5件の事例への口頭試問で判断されます。

第一回面接試験の面接官をつとめた狭間研至氏は「あぁ、この先生となら、一緒に在宅回りたいな」と思えるかを考慮したと語っています。

2年前、手探りで始めた試験は、私が一対一で面接し、あぁ、この先生となら、一緒に在宅回りたいな、と思う先生をお願いしました。それからわずか2年の間に、状況が激変したことは、驚きではありますが、大変うれしいことです。

出典:HAZAMAKENJI.COM 【https://www.hazamakenji.com/】

在宅療養支援認定薬剤師は3年ごとに更新が必要【更新方法】


在宅療養支援認定薬剤師は3年ごとに認定の更新が必要です。とはいえ、3年ごとに試験があるわけではありません。所定の単位を取得し、事例報告をおこなって審査に通れば更新となります。

更新に必要な要件は以下の4点です。

更新必要要件
①以下3つのうちいずれかの認定薬剤師であること
・薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師
・日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師
・日本医療薬学会認定薬剤師
②所定の講座で各年5単位以上、合計30単位以上の単位を取得していること.
③日本在宅薬学会主催の学術大会に出席していること
④5件の事例報告ができること

審査料10,000円、登録料10,000円が必要となります。

まとめ

在宅療養支援認定薬剤師について紹介してきました。在宅療養支援認定薬剤師は第三者認証を受けた在宅領域唯一の認定制度であり、在宅医療のプロフェッショナルであることを証明する認定となります。

取得に際しては5件の事例報告が必要であり、簡単ではないかもしれません。しかし超高齢社会において在宅医療のニーズは高く、今後ますます在宅療養支援認定薬剤師の活躍が期待されます。挑戦してみる価値はあるのではないでしょうか。

この記事の監修
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西 智行
株式会社スマイリンク

薬科大学卒業後、大手製薬会社の医薬情報担当者(MR)として入社。3年間福島県の郡山を中心に営業活動を行い、薬局経営事業に着手。関東中心に4店舗のM&Aを経て、薬局経営コンサルや転職コンサルに従事している。

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